てんかん…大脳皮質の神経細胞が過剰興奮することによって生じる(病名)。けいれん(=不随意的な骨格筋収縮)を伴うものが有名だが、そうでないものもある(欠伸発作、脱力発作など)。てんかん発作(症状名)は大きく2つに分かれる。
部分発作
脳の局在する部位のみで過剰放電が起きる。
単純部分発作
発作中の意識はある!局所的な興奮によって様々な症状を呈する→体の一部のけいれん、感覚異常、自律神経発作(頭痛、発汗)など
脳波:間欠期→spikeのみ、発作時→spikeの律動的発射
☆Jackson発作…中心前回で起こった異常放電が隣接部位に次々と波及、顔→上肢→下肢の順にけいれんが起きる。
(参考:ホムンクルス)
複雑部分発作
発作中の意識はない!側頭葉〜前頭葉の過剰興奮によることが多い→自動症(口をもぐもぐさせる、ボタンをいじる)など
脳波:間欠期→spike&wave(棘徐波)、発作時→spikeの律動的発射
全般発作
両側大脳半球が同時に過剰興奮する。意識は基本的にない!
欠伸発作
小児期の女児に多い。突然の意識消失→すぐに復活。よってけいれんは無い。
脳波:3Hzの棘徐波複合 =棘波→徐波 の塊が1秒間に3回起きる
ミオクロニー発作
新生児〜小児に多い。意識消失は軽度。突然の瞬間的な筋収縮。光刺激で誘発される。
脳波:多棘徐波複合 =棘波たくさん→徐波
ミオクローヌスというのは、不随意運動の名称。ミオクロニー発作はミオクローヌスを起こす発作のこと。他にも生理的なもの(しゃっくり、寝てる時に手足がピクッと動く)、やばいやつでは亜急性硬化性全脳炎(麻疹後)、クロイツフェルト・ヤコブ病などがミオクローヌスを起こす。
脱力発作
幼児期に多い。突然脱力→倒れたり頭をぶつけたり。
脳波は色々
強直間代発作
強直発作からの間代発作。全年代に起こる。
強直発作…筋が硬直→弓なりの姿勢、大声をあげて倒れる。眼球は偏移し呼吸も停止(チアノーゼ)
脳波:全般性多棘波(棘波がたくさん長い時間起きる)
間代発作…ミオクロニーが連続する。四肢はガタガタ震え、失禁を起こす。発作後はそのまま寝たり、もうろう状態になる。
脳波:全般性棘徐波複合
脳波の例は 脳波の手習いシリーズ がわかりやすいかと思われる。
抗てんかん薬
カルバマゼピン
部分発作!! Naチャネルを遮断し、膜電位の立ち上がりを抑制。興奮状態を抑えるイメージなので、脱力発作、欠伸発作には無効。なぜかは知らんがミオクロニーにも無効。
フェニトイン
カルバマゼピンと同じ機序・適応!こっちの方が効果は薄いが副作用も薄い(歯肉増殖とか)。
バルプロ酸ナトリウム
全般発作!!部分発作でも使える!GABAトランスアミナーゼを阻害→GABAが代謝されにくくする。(ChE阻害薬みたいなノリ)
ベンゾジアゼピン系
GABAの作用を増強。
ジアゼパム…けいれん重積!!=けいれん発作が30分以上続く状態
クロナゼパム…ミオクロニー発作!