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発作性夜間ヘモグロビン尿症のメカニズム

まれな疾患ではあるが、結構特徴的な単語が多くてテストに出しやすい。

発作性夜間血色素尿症

発作性夜間血色素尿症(PNH: Paroxysmal Nocturnal Hemoglobinuria) は、細胞膜上に酵素をつなぎとめる役割を果たすGPIアンカー後天的に欠損する疾患。GPIアンカーは、補体の活性化を抑える補体制御タンパクや、NAP、AChE(アセチルコリンエステラーゼ)といった酵素を繋ぎとめているため、PNHではこれらの酵素の活性がなくなってしまう。

GPIアンカー沖縄県医師会報(2011年10月号)より

早朝のヘモグロビン尿

PNHでは朝起きたときに褐色のヘモグロビン尿が出やすい。これは、

①寝る

低換気=血中CO2上昇=アシドーシス

③刺激によって補体(の副経路)が活性化

④赤血球を血管内で破壊(=血管内溶血)

早朝のヘモグロビン尿

PNHは自転車のブレーキが外れた状態と考えるとわかりやすい。平地=刺激のない状態ではブレーキがなくても普通に走れるが、坂道=刺激のかかった状態だと歯止めが利かなくなってしまう。

検査所見

正球性正色素性貧血

赤血球の機能、構造自体は問題ないので正球性になる。

汎血球減少

主に補体で破壊されるのは赤血球だが、白血球、血小板もGPIアンカーが失われているため、全種類破壊される。

AChE活性、NAPスコアの低下

GPIアンカーに繋がれている酵素。NAPについては以前の記事参考。

HAM試験と砂糖水試験

HAM試験…患者の赤血球がアシドーシスに耐えられるか検査する。患者赤血球に0.2N塩酸を添加⇒PNHだと溶血!

砂糖水試験…患者赤血球が低イオン状態(これも補体が活性化する刺激のひとつ)に耐えられるか検査する。患者赤血球に等張砂糖水を入れる→NaやClイオンが存在しないため溶血!

フローサイトメトリー

最強。CD55、CD59陰性細胞を検出。

治療

①軽症状なら経過観察

②貧血⇒輸血。以前は補体混入を避けるため血漿を除いた洗浄赤血球を用いていたが、どうやら普通の赤血球濃厚液でも問題ないらしい。

エクリズマブ…補体に対するモノクローナル抗体。

ハプトグロビン(Hp)…血漿中に含まれるタンパク質で、血中に遊離したHbを結合させる。PNHでは低下する⇒Hbは腎毒性があるため腎臓を守り、ヘム中の鉄も失われるのを防げる。

<参考>

STEP内科2 感染症・血液 第3版


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