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壁深達度分類と内視鏡治療の適応

食道癌、胃癌、大腸癌では腫瘍が消化管の壁のどの位置まで到達しているかが、病期や治療方針の決定に重要となる。分類の仕方は基本的には似ているが、ちょっとずつ違う部分がある(特に食道癌)ので注意。

消化管壁の構造

上から、粘膜層粘膜下層固有筋層漿膜(外膜)の順番。粘膜層はさらに粘膜上皮、粘膜固有層、粘膜筋板に分かれる。漿膜=腹膜の内っ側のことで、腹膜に包まれていない食道には漿膜がない!代わりに外膜として疎性結合組織が覆っている。

消化管壁の構造

のちのちSMとかMMとか略語が出てくるので、それぞれの層の英語は覚えておいたほうがいい。

粘膜層: mucosa =M

粘膜上皮: epithelium =EP

粘膜固有層: lamina propria mucosae =LPM (properのラテン語?)

粘膜筋板: muscularis mucosae =MM (要するにmuscleとmucosa)

粘膜下層: submucosa =SM

固有筋層: muscularis propria =MP

漿膜:serousa  =S

食道癌の深達度

食道癌は早期癌、表在癌、進行癌に分かれていて、早期癌は粘膜層(粘膜筋板=MM)まで、表在癌は粘膜下層(=SM)までの浸潤となっている。進行癌は粘膜下層を超えて固有筋層にいったら。これは3つとも共通。

食道癌

胃癌・大腸癌の深達度

胃と大腸は同じ。早期癌は粘膜下層(SM)までで、進行癌は粘膜下層を超えるもの。

胃癌と大腸癌

内視鏡治療の適応

基本的に、内視鏡治療の適応となるのは

リンパ節転移が(ほとんど)ない

②1回でちゃんと取りきれる

の2つを満たすとき。そのため、深達度や腫瘍径が大事になる。

食道癌の場合

粘膜固有層まで(EP or LPM)。

MMおよびSMにわずかに浸潤するものは、転移の可能性があるため相対的な適応。

SMに深く入った場合は転移の可能性が50%ほどあるため適応外。

胃癌の場合

粘膜層まで (cT1a)

分化型癌

2cm以下

潰瘍形成 (UL)がない

→絶対適応。

(ここまで覚えなくていいと思うが)

・2cm以上の場合

・潰瘍があっても3cm以下の場合

・未分化型でも2cm以下で潰瘍もない場合は、適応拡大病変となりうる。

大腸癌の場合

粘膜層まで、あるいは粘膜下層の軽度浸潤。大きさや肉眼型は不問。

 

復習に国試問題を1問。

 

105G15

早期胃癌の内視鏡治療の適応決定に影響しないものはどれか。

a 部位

b 深達度

c 組織型

d 潰瘍形成

e リンパ節転移

 

正答率67.5%らしいが、リンパ節転移がないことが原則であることを知っていれば簡単なはず。

答え:a

 

参考:

食道癌診断・治療ガイドライン 第3版  (2012年)

http://www.jsco-cpg.jp/item/09/index.html

胃癌治療ガイドライン 第4版 (2014年)

http://www.jgca.jp/guideline/fourth/index.html

大腸癌治療ガイドライン 医師用2014年版

http://jsccr.jp/guideline/2014/index_guide.html


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