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ワルファリンとヘパリンの違い、NOAC/DOACの作用機序

凝固因子については、次の記事を参照してください。

ヘパリン

注射薬で、すぐに効果が発現し、持続時間は1~2時間。

アンチトロンビンIII (AT III)と呼ばれる物質を活性化する。

→ATがトロンビンを不活性化、加えてFIXとFXも不活性化して、凝固系を抑制する。

 

モニタリング方法

ヘパリンが抑制するのはトロンビン・FIX・FX。トロンビンとFXは共通系、FIXだけ内因系の因子なので、APTTがどれだけ延長したかが1つの指標になる。

もう一つ、ACT(活性化全血凝固時間: Activated Clotting Time)というのもある。これは凝固剤なしで採った全血に活性化剤を入れて内因系を活性化、血餅(clot)を作るまでの時間を調べる。APTTほどの精度はないが、専用の機械にサクッと入れて測定できるので、簡便かつ迅速。なので人工心肺など、ヘパリンによる凝固のコントロールが必要な手術中によく使われる。

ワルファリン

商品名はワーファリン。こっちは経口薬で、効果発現まで時間がかかるため、持続性の抗凝固作用(たとえば日常での内服)に用いる。効果発現は半日~1日、2日ほどでピークに達し、持続時間は2日~3日。また、胎盤を通過し、催奇形性があるため妊産婦には禁忌

ビタミンKに似た構造を持ち、ビタミンKの作用に拮抗する(競合阻害)。

→ビタミンK依存性凝固因子=凝固因子の中でもその合成にビタミンKが必要なもの=FII, IX, VII, X (ゴロは「肉納豆」)の肝臓における合成が滞り、活性が低下し、凝固系が抑制される。

また、ビタミンKが多く含まれる食べ物(納豆とか青汁)を摂取すると凝固因子の産生が進んでワルファリンの効果が減弱するのでNG!

 

モニタリング方法

PT-INRを用いる。ワルファリンが阻害するのはFII, IX, VII, Xだが、このうち最も半減期が短い=ワルファリンの作用を受けやすいのがFVIIで、1.5〜5時間。そのため、VIIの関与する外因系:PTがワルファリンの効果を最も反映する。

NOAC/DOAC

New/Novel Oral AntiCoagulant(新規経口抗凝固薬)の略だが、もはやNewではないので、最近ではDOAC(Direct Oral AntiCoagulant:直接経口抗凝固薬)という名称も使われる。現在発売順に4種類がある。

ダビガトラン (プラザキサ®)
リバーロキサバン (イグザレルト®)
アピキサバン (エリキュース®)
エドキサバン (リクシアナ®)

作用機序は、一番最初のダビガトランだけ直接トロンビン阻害薬で、その他3つはXa阻害薬(aというのはactive: 活性化という意味)。どちらもトロンビン、あるいは凝固因子のFXを直接阻害することで抗凝固作用を示す。同じく経口抗凝固薬のワルファリンとの違いとして

①ビタミンKの代謝に関係しないため食事制限が必要ない

②より作用発現が速く、半減期も短い

③採血によるモニタリングが不要…食べ物や他の薬剤の影響を受けづらく、作用がより安定しているため。

④副作用の出血が少ない

⑤薬価が高い

腎排泄がある…特にダビガトランは腎排泄率が80%で、他の薬剤も少なからず腎排泄があるため、腎障害には禁忌あるいは慎重投与。ワルファリンは肝代謝なので腎機能が低くても可能。

などが挙げられる。

ちなみに非経口の直接トロンビン阻害薬としてアルガトロバン(ノバスタン®、スロンノン®)がある。これは肝排泄型なので腎障害でもOK.

 

<参考>

Warfarin適正使用情報第3版

http://www.eisai.jp/medical/products/warfarin/proper-use/WF_T_AUI.pdf

凝固・線溶検査ポケットブック

http://jbpo.or.jp/common/pdf/coagulation_fibrinolysis.pdf

PT-INRとワーファリン:血液凝固検査入門(18)

http://www.3nai.jp/weblog/entry/28747.html

新規抗凝固薬使い分けのポリシー - J-Stage

https://www.jstage.jst.go.jp/article/shinzo/47/2/47_135/_pdf


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