体幹部・顔面に脂肪が沈着する中心性肥満 (central obesity)と満月様顔貌 (moon face)、後頚部に脂肪沈着が起きるbuffalo hump (バッファローハンプ、野牛肩)は、どれもcushing症候群やステロイドの副作用として現れる症状。この原因の1つとして、脂肪の合成と分解のアンバランスが挙げられている。
コルチゾール vs. インスリン
糖質コルチコイドの作用として、脂肪細胞に働いてグルコースの取り込みを阻害、中性脂肪の生合成を抑制し、さらに遊離脂肪酸とグリセロールを放出させる、というものがある。
=脂肪分解
ただ、糖質コルチコイドにによる高血糖の影響で、インスリン分泌が増える。インスリンは筋・脂肪組織でのグルコース取り込みを促進し、脂肪細胞における中性脂肪の合成を促進する。
=脂肪合成
つまり、糖質コルチコイドとインスリンは拮抗関係にあり、一部の組織では糖質コルチコイドが優位に働き脂肪分解が、一部では逆に脂肪合成が促進される、という風に体脂肪の異常分布が起きる。その結果、体幹や顔面にのみ肥満が起き、四肢は痩せる特徴的な体型となる。
<参考>
標準生理学 第8版
Cushing's syndrome - Wikipediaより
↑ 満月様顔貌。
http://cushingsmoxie.blogspot.jp/2012/04/day-28-buffalo-hump.htmlより
buffalo hump (上)と本物のバッファロー (下)。