真菌の細胞壁
多くの真菌が外側からマンナン・β-D-グルカン・キチンという物質で構成される。また、細胞膜にはエルゴステロールという物質があり、これらは人間の細胞を構成する物質ではないため、抗真菌薬の標的となる。
β-D-グルカンが上昇する疾患
血中のβ-(1→3)-グルカンを測定することで深在性の真菌症をスクリーニングできる。深在性真菌症としてよく挙げられるのはカンジダ・アスペルギルス・クリプトコッカス・ムーコル≒接合菌・ニューモシスチスだが、ムーコルはβ-D-グルカンを持たず、クリプトコッカスは莢膜に包まれていて血中に出てこないため、β-D-グルカンは上昇しない。また、表在性の真菌症(口腔カンジダ、白癬菌症など)は、血中まで菌がいかないため上昇しない。
→カンジダ・アスペルギルス・ニューモシスチスで上昇
→そもそも、深在性真菌症が起きる、あるいは重症となるようなケースは限られていて、真菌を疑うべき状況=免疫低下している状況を加味する必要がある。例えば、
・白血球減少(白血病)
・糖尿病
・抗がん剤、免疫抑制剤、ステロイド投与
・AIDS
・重症感染症、急性膵炎
・外科手術後
・カテーテル留置
などなど。
覚え方としては、
「βニューギルカン」(ギルはアスペルギルスのギル)
「グルに入門はアカン」。
検査特性
検査キットによって感度・特異度が異なる。日本で使われるのが、MK法とワコー法で、MK法は感度が高く、ワコー法は特異度に優れるという特徴がある。
また、偽陽性も存在し、不要な抗真菌薬の投与につながりかねない。例としては、
・セルロース素材の透析膜による血液透析
・アルブミン製剤、グロブリン製剤
・レンチナンなどのβ-D-グルカン含有製剤
など。
<参考>
深在性真菌症の診断・治療ガイドライン2014