2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧
前記事:胃切除後の再建法でも書いたように、Billroth II法の再建術を行うと、吻合部への張力が軽減される一方で、輸入脚症候群や盲管症候群 (blind loop syndrome)といった合併症が起きる可能性がある (現在では1%前後の確率らしいが)。また、Roux-en-Y法で…
胃癌の手術をする際には、胃の3分の2以上の切除とリンパ節郭清が標準となる。そのため癌の部位によって大きく分けて幽門側胃切除(下の方を取る)・噴門側胃切除(上の方を取る)、胃全摘(全部取る)の3種類の術式がある。そのほかにも、幽門保存胃切除といっ…
胃がんに対して胃切除の手術を行うと、術後に胆石が増えやすいことが知られている(胃切除後胆石症=胃切除後症候群のひとつ)。 胆嚢の働きを支配しているのは迷走神経(副交感神経)で、横隔膜を通り抜けたあと肝枝を出して胆嚢に行く。ここでの働きは胆嚢の…
ダンピング症候群は胃切除後症候群の1つで、早期と後期(晩期)にわけられる。ダンピングのdampとは「投げ捨てる」とか、「どさりと落とす」といった意味の動詞で、食物が胃を介さず一気に小腸に流れ込むことで起きる。ダンプカーのダンプと同じ。 ダンプカー…
食道癌、胃癌、大腸癌では腫瘍が消化管の壁のどの位置まで到達しているかが、病期や治療方針の決定に重要となる。分類の仕方は基本的には似ているが、ちょっとずつ違う部分がある(特に食道癌)ので注意。 消化管壁の構造 食道癌の深達度 胃癌・大腸癌の深達…