GFR (糸球体濾過量)とは
glemerular filtration rate.
糸球体によって1分間に濾過される血液の量。つまり腎臓が尿をどれだけ作ることが出来る=腎機能をあらわす。
本来はイヌリンを使って測定 (糸球体ですべて濾過され、再吸収も分泌もされないため)するが、点滴静注が必要で、測定も煩雑なので行われない。そのためクレアチニンクリアランス (Ccr)で代用する
→生体内に存在する物質で、ほとんど糸球体で濾過され、わずかに分泌される
→イヌリンよりは正確なGFRを反映しないが、内因性物質なので測定が簡単
eGFRとは
estimated glemerular filtration rate.
Ccrの測定には蓄尿が必要なため、より簡便に血液検査のみでGFRを推定する。
血清クレアチニンを使う
日本では酵素法で血清Crを測定する。通常は体表面積を1.73m2で補正している
→体格・身長の違いを均一化して、CKDの重症度を適切に分類するため。140cmの女性は60mL/minあれば十分だが、190cmの男性は100mL/minは必要。補正しないままだと、140cmの人がCKD扱いになってしまう。
腎臓病に関するQ&Aの2ページ目に分かりやすく書いてあります。
式を覚える必要は全く無いが、性別と年齢が必要なことに注意。クレアチニンは筋肉のクレアチンの代謝産物なので、筋肉量の違いを男女と年齢で考慮している。
→長期臥床していたり、筋疾患などで筋肉量が落ちている人の場合にはCreの合成が落ちるためeGFRは上昇する=腎機能が見かけ上良くなるので注意!
→逆に筋肉隆々でクレアチニンの産生が多い人などはeGFRが低下することもある
上記事も参考にどうぞ。
血清シスタチンCを使う
クレアチンとは違いシスタチンCは全身の細胞で産生されるため筋肉量による違いは少ない。また、より軽度の腎機能低下を反映すると言われている。
薬剤投与量の調整
上記のeGFRではCKDの評価のために体表面積を均一化しているが、薬剤投与量を考える際にはそれでは不十分!
さっきの例で言えば、140cmの女性はeGFR=60mL/minでも腎機能としては問題ないが、190cmの男性に比べれば薬物を排泄できる量は低くなる。そのため薬物投与量は190cmの人よりも少なめにする必要がある (薬剤によっては)。
実測CCr
蓄尿の必要があるが、一番正確。実際のGFRよりも少し高めの値になるので、実測CCr × 0.715 ≒ GFRとなる。
実際にはUcrは1日量で測るため、1日尿量を24時間=1440分で割ることになる。
CCr推算式 (Cockcroft-Gault法)
血清Cr、年齢、体重からCCrを推算する。この式が作られた時はCrをJaffe法というもので測っていたが、日本では今は酵素法を使っており、その場合Cr値が0.2 mg/dL下がる。つまり式に代入するCrは、検査で得られた血清Crに0.2を足したものになることに注意。
個別eGFR
通常のeGFRは体表面積を1.73m2で揃えたものだが、これを個別の体表面積 (BSA: body surface area)を使って、体表面積で補正しないeGFRを計算する。
つまり、
使えそうなアプリ
僕のいる病院だとカルテ内にCCrを計算してくれるツールがあるのでそれを使っていますが、自分で計算するのは厄介。なのでスマホで使えるアプリを3つ紹介します。
M2 Plus Launcher
医学書の電子書籍ストアだけど、無料で使える計算ツールがある。
血液ガスと計算機
eGFRやCCr,体表面積の計算(BMIからできる)の他にも、γ計算も可能。
MdCalc
英語しかないが、いろんな計算式がevidenceとともに載っていて便利。
<参考>
薬剤性腎障害 診療ガイドライン 2016
https://cdn.jsn.or.jp/academicinfo/report/CKD-guideline2016.pdf
腎臓病に関するQ&A
http://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/Labs/clpharm/database/docs/qa02.pdf