UTIの分類
尿路感染症 (UTI: urinary tract infection)…膀胱炎、尿道炎、腎盂腎炎が含まれる。尿道炎は性感染症の範疇なので省略。
単純性か複雑性か
単純性…基礎疾患のない若年女性におきるもの
https://health.goo.ne.jp/medical/body/jin033?より
女性は男性に比べて単純性膀胱炎が起きやすい、理由は
① 尿道が短い (男性は15-20cm、女性は3-4cm)
② 尿道口が男性に比べて肛門に近く、汚染されやすい
そのため、外尿道口から細菌が上行性に侵入しやすい。
複雑性…基礎疾患のある場合に尿の停滞や逆流などが原因となるもの
→小児なら膀胱尿管逆流
→男性なら前立腺肥大、前立腺癌、膀胱癌
→女性なら妊娠、神経因性膀胱
他にも尿路結石や尿道留置カテーテルなども原因となる。
UTIの診断
UTIの症状の他に、膿尿や細菌尿の存在が重要になる。
症状・身体所見
腎盂腎炎
・発熱、悪寒、戦慄
・腰背部痛、CVA叩打痛
膀胱炎
・頻尿、残尿感
・排尿痛
・尿混濁
→発熱、悪寒、戦慄はみられない!おそらく腎臓のような実質臓器ではなく、管腔臓器=ただの管だから。
膿尿・細菌尿の定義
膿尿
尿沈渣で白血球を5個/HPF以上認める状態。肉眼的に混濁尿をきたすことも。
※HPF (high power field)…400倍で鏡検したときにみえる1視野。
細菌尿
尿培養によって得られたコロニー数を数える
→中間尿なら 105CFU/mL以上
→カテーテル尿なら細菌が混じりにくいため、 104CFU/mL以上
※CFU (colony forming unit)…コロニー形成単位。大まかに言えばコロニーの数。
※尿1μL以上を採取して培地に蒔き、コロニーが10個できたとき、1mLで出来るコロニーの数は、10×1000=104CFU/mL
尿定性 (亜硝酸塩と白血球)
尿定性は、尿に試験紙を染み込ませて検査するもの。
http://www.sagamiharahp.com/medical/detail/184/より
亜硝酸塩 (Nit)
尿中にある硝酸塩が、大腸菌やブドウ球菌によって還元されて亜硝酸塩になる。つまりこれが陽性だと細菌が尿中に存在する可能性が高くなる。
白血球 (WBC)
好中球のエステラーゼ活性によって試験紙を呈色させる。検出感度は10-25個/μLほどで、尿沈渣による白血球 5個/HPF以上と概ね一致する。
<参考>
細菌性尿路感染症 - 03. 泌尿器疾患 - MSDマニュアル プロフェッショナル版
http://www.eiken.co.jp/products_technique/us/faq/18.html