生後4〜7日のすべての新生児に行う先天性代謝異常の検査
方法としては、足底の外縁部にちっちゃな針を刺して血液を絞り出し、専用の濾紙に滴下する。
なぜ生後4~7日?
代謝できない物質が血中にたまるまでに時間がかかる and 母子は基本1週間で退院するからその前にやっておく。
タンデムマススクリーニング法
今までGuthrie法で検出されていたアミノ酸代謝異常3種類(ホモ・フェニル・メープル)の他にも有機酸代謝異常・脂質代謝異常など、19疾患のスクリーニングが可能な検査法。
内分泌疾患(クレチン症、先天性副腎皮質過形成)とガラクトース血症は今まで通りの方法。
https://www.orphanpacific.com/patient/column_mass_screening/より
覚え方
「ホモがデカチン、フェラしろ!」
ホモ: ホモシスチン尿症
が: ガラクトース血症
デカ: 先天性副腎皮質過形成症候群
チン: クレチン症
フェラ: フェニルケトン尿症
しろ: メープルシロップ尿症
ホモシスチン尿症
メチオニンを測定。ホモシステイン→シスタチオニンの代謝酵素(CBS: シスタチオニンβシンターゼ)が欠損。ホモシステインとメチオニンは相互変換可能なので、血中メチオニン↑・ホモシステイン↑。また、尿中ホモシスチン↑ (ホモシステインの代謝産物)
⇒症状:Marfan様症状(水晶体脱臼、骨格異常)、知能障害
ガラクトース血症
ガラクトースを測定(Beutler法やPaigen法による)。通常ガラクトースはGAL→GAL-1-リン酸→グルコース-1-リン酸というように代謝されるが、その過程が障害される。血中ガラクトース↑、また、尿中ガラクチトール↑ (ガラクトースの代謝産物)
⇒症状:嘔吐・下痢+白内障(ガラクチトールの蓄積)、知能障害
先天性副腎皮質過形成症候群
17-OH プロゲステロンを測定 (ELISA法による)。21-水酸化酵素 (P450C21)の欠損によるものが多い。アルドステロンとコルチゾールを作れなくなるため、アンドロゲンが↑、コルチゾールからのネガティブフィードバックによってCRH, ACTHは増え、さらにアンドロゲンが増える。
⇒症状:哺乳力低下・嘔吐(コルチゾール↓)、(女児は)男性化症状・(男児は)思春期早発(アンドロゲン↑)、Na低下、K上昇→アシドーシス(アルドステロン↓)
クレチン症(先天性甲状腺機能低下症)
TSHを測定(ELISA法による)。マススクリーニングの中で最多(5000人に1人)!
⇒症状:甲状腺ホルモン低下による知能障害・発達障害、筋力低下、粘膜水腫、皮膚の乾燥、浮腫、便秘……など
フェニルケトン尿症
フェニルアラニンを測定。フェニルアラニン→チロシンの代謝が阻害される。血中フェニルアラニン↑、尿中フェニルケトン↑ (フェニルアラニンの代謝産物)。
⇒症状:知能障害・けいれん(カテコラミン↓)、赤毛・白い皮膚(メラニン↓)
メープルシロップ尿症
ロイシンを測定。分岐鎖アミノ酸(バリン・ロイシン・イソロイシン)の代謝が阻害される。血中分岐鎖アミノ酸↓、尿中分岐鎖α-ケト酸↑
⇒症状:哺乳困難、嘔吐、意識障害・メープルシロップ様尿臭