dry tapと白赤芽球症、どちらも骨髄線維症で見られる病態だが、他の疾患でも起きることがある。
dry tap
tapというのはここでは恐らく蛇口とか、樽の栓という意味 (tap water=水道水)。骨髄穿刺をしようとして吸引しても何も出てこない状態のことを指す。dry tapをきたすのは、骨髄がスカスカになっているかギチギチに詰まっているかのどちらか。
- スカスカの場合…骨髄線維症
- ギチギチの場合…CML(慢性骨髄性白血病)の急性転化、癌の骨髄転移
(急性白血病とかでもdry tapになっても良さそうだが、そこはよく分からない)
→骨髄穿刺ができないとなると、より太い針で骨髄生検をすることになる。
白赤芽球症(leukoerythroblastosis)
赤芽球と幼若顆粒球が末梢血中に現れる状態。leuko=白血球、erythro=赤血球、blasto=芽。これが起きる原因としては髄外造血が挙げられる。なんらかの原因で骨髄での造血ができなくなった場合、肝臓・脾臓で代わりに造血を行うことがある。すると骨髄であった未熟な血球を出さないフィルターが存在しないため、赤芽球や幼若顆粒球が末梢血に出てきてしまう。また、骨髄洞のフィルターが破壊されたり、骨髄の過形成も原因として挙げられる。鑑別に挙げられる主な疾患としては、
- 癌の骨髄転移
- 骨髄線維症を始めとする骨髄増殖性腫瘍
- 粟粒結核…結核が血液に乗って複数の臓器に病巣を作ること。現在では稀。
- 重度の溶血性貧血
- 造血器腫瘍一般
などがある。とりあえずマーカーを引いた3つが重要だと思う。
<参考>
新・病態生理できった内科学 5 血液疾患 第3版
https://www.jstage.jst.go.jp/article/iryo1946/51/9/51_9_398/_pdf