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BUNとCreの上昇/低下

BUN(血液尿素窒素)

BUN(blood urea nitrogen)は日本語で血液尿素窒素と呼ばれ、血液中の尿素に含まれる窒素の量を表す(直接尿素を測るのは難しいらしく、間接的に窒素量で表している)。

基準値は8~20mg/dL。

尿素の生成

下図のように、尿素はタンパク分解の際に生じた有害なNH3をオルニチン回路で代謝した際に生成される。

オルニチン回路の図

BUN上昇の原因

タンパクの異化亢進

タンパクの分解が亢進すればNH3も増え、尿素も増える。具体的には、手術、熱傷、高熱、飢餓など。

消化管出血

血液内に含まれる赤血球や血漿タンパクが腸管内で分解され、大量のNH3ができる。

腎血流量の減少・腎障害

腎に血液が行かなかったり、機能が落ちていたりすれば尿素を排泄できず血中に溜まる。具体的には、脱水、利尿薬、腎不全など。

尿細管での再吸収促進

尿素は尿細管で再吸収されるので、尿細管にとどまる時間が長ければそれだけ再吸収されやすくなる。前立腺肥大尿路結石などの閉塞性尿路疾患がその例。

BUN低下の原因

臨床的には増加ほど問題とはならないが、一応2つだけ。

妊娠

胎児の成長に窒素(N)が消費されるほか、循環血漿量が増えることも原因とされる。

肝障害

オルニチン回路が肝臓で回っているため、重度の肝障害では尿素合成が低下することも。

Cre(クレアチニン)

Cre(クレアチニン)は、筋収縮に必要なクレアチンの代謝産物で、GFR(糸球体濾過量)を調べるのに使うクレアチニンクリアランス(Ccr)も有名。基準値は筋肉量に比例するため男女で違うが、大体1.0mg/dL以下、として覚えておいて問題ないはず。BUNと比べて、タンパクの変化や尿細管云々に影響を受けないため、より腎機能の程度を反映しやすい(筋肉量に影響は受けるが、横紋筋融解などがない限り、短期間での筋肉量の増減はかなり小さいはず)。

Cre上昇の原因

横紋筋融解症

筋肉からクレアチンが逸脱するため上昇する。

腎血流量の減少・腎障害

BUNのときと同様。

Cre低下の原因

筋疾患

筋ジストロフィーや長期臥床など、筋肉萎縮があるとクレアチン量ひいてはクレアチニン量が低下する。

BUN/Creとは

BUNとCreの比をとることで腎外性因子の推定ができ、鑑別が絞られる。基準値は10

BUN/Cre上昇の原因

BUNが単独で増える場合が多い。

尿素産生の亢進

タンパク異化亢進や消化管出血。Creは変わらず、BUNだけ上がる場合。Creはタンパクの分解には影響を受けない。

尿細管での再吸収促進・腎前性腎不全

腎不全ではBUN, Creともに上昇するが、その中でも腎前性、つまり腎血流量が落ちた場合には、尿量減少によってBUNの尿細管における再吸収が増加するため、腎性に比べてBUN/Creは上がりやすい(Creは尿細管での再吸収を受けない!)。

BUN/Cre低下の原因

尿素産生(BUN)の低下

BUNが低下する場合。重症肝不全や低タンパク食など。

Cre単独の上昇

横紋筋融解では筋肉からクレアチニンが出てくるためCreは上昇するが、BUNにはさして影響を与えない。

透析療法後

尿素は分子量が小さいので、透析療法で除去することができる。するとCreに比べてBUNの値が低くなり、BUN/Creが低下する。

 

<参考>

異常値の出るメカニズム 第6版


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