インスリン分泌能
Cペプチド(CPR)
インスリンを作る際、1分子のプロインスリンから、1分子のインスリンと1分子のCペプチド(CPR: C peptide immunoreactivity)が産生される。インスリンと異なり代謝されにくいため、Cペプチドの測定によって内因性のインスリン分泌を評価できる。
血中Cペプチドの基準値は1〜2.5ng/mL。
また、安定して尿中に排泄されるため、蓄尿を行い、24時間尿中Cペプチド排泄量を測ることによって1日のインスリン分泌量も評価することができる。健常者では50〜100μg/日で、20を下回ると依存状態といえる。
主に腎臓で排泄されるため、腎機能障害がある場合は血中CPR↑、尿中CPR↓となってしまうので注意。
HOMA-β
homeostasis model assessment for β cell functionの略。
早朝空腹時の血中インスリン(IRI: immunoreactive insulin)値と空腹時血糖(FBG: fasting blood glucoce)から算出。
100%が健常白人の基準。50%を下回ると分泌低下と考えられる。(これには明確な基準があるわけではなさそう)
インスリン分泌指数
II (insulinogenic index)とも。ブドウ糖負荷試験の際に行えるもの。75OGTT後の30分間の血糖値変化=ΔPG(30') に対する血中インスリン濃度変化=ΔIRI(30') を算出すると、
糖負荷後早期のインスリン分泌能を反映し、下限値は0.4。
グルカゴン負荷試験
グルカゴンは肝臓の糖を放出させ血糖を上昇させるが、直接β細胞に作用してインスリンを分泌させる働きも持つ。そのためグルカゴンを外から入れてインスリンがちゃんと分泌されているかをみる。
早朝空腹時にグルカゴン1mgを静注し、0, 6, 10, 15, 30分後 (あるいは0と6分後)にCPRを測定。
健常人ではCPRが5〜10分後にピーク値4〜6ng/mLに達する。負荷後のCPRの増加が2.0ng/mL未満の場合、インスリン療法が必要なことが多い。
インスリン抵抗性
インスリンは分泌できていても効きが悪い状態。
血中インスリン(IRI)
早朝空腹時にIRIが高い (10 μU/ml以上)と、空腹にもかかわらずインスリンが多い、つまりインスリン抵抗性が疑われる。
HOMA-R
こちらはhomeostasis model assessment for insulin resistanceの略。同様にFBGと空腹時のIRIから算出され、
健常白人の抵抗性を1としており、2.5以上なら抵抗性ありと判断される。グルコースクランプよりも簡便で、よく相関する。
グルコースクランプ法
インスリンを持続静注し、高インスリン血症を維持する。この状態でグルコースを適当な量静注して、血糖値をなるべく一定(100mg/dL)に保つ。グルコースの投与量が一定した時の投与速度を測定する。
インスリンを入れていることで肝臓からの糖新生は抑制されているので、このグルコース注入速度は、ほぼ糖代謝の速度と等しくなり、注入速度の低下はインスリン作用の減弱を意味する。
<参考>
最新 内分泌代謝学
病気がみえる vol3: 糖尿病・代謝・内分泌 第4版