とりあえずこんな問題。
111G22
慢性咳嗽について正しいのはどれか。
a. 慢性咳嗽とは4週間以上継続する咳である。
b. アトピー咳嗽には気管支拡張薬が有効である。
c. 降圧薬ではカルシウム拮抗薬が主な原因である。
d. 咳喘息にはプロトンポンプ阻害薬が有効である。
e. 副鼻腔気管支症候群にはマクロライド系抗菌薬が有効である。
見た限りでは、咳喘息が問われるのは109H24以来2回目で、アトピー咳嗽に至っては初めて。109H24でも慢性咳嗽の鑑別が問われているので、これから増えてくるかも。
慢性咳嗽の鑑別
http://www.3nai.jp/weblog/entry/27938.htmlより
3週間以上続く咳を遷延性咳嗽、8週間以上続く咳を慢性咳嗽と呼ぶ。遷延性咳嗽や、慢性咳嗽に入ってくると、感染性咳嗽・特に感染後咳嗽の可能性が下がってくるため、非感染性の疾患を鑑別に入れる必要がある。
感染による遷延性~慢性咳嗽として重要なものとして結核・百日咳・マイコプラズマ・クラミジア肺炎が挙げられる。
以下は咳喘息とアトピー咳嗽について。
咳喘息
気管支喘息の亜型だが、咳嗽以外に喘鳴や呼吸困難などの症状をきたさない点が特徴。呼吸機能も正常。気道過敏性は、喘息ほどではないが軽度に亢進している。
→喘息と同様に、気管支拡張薬(β2刺激薬やテオフィリン)によって症状が改善することが確定診断に必要となる
→治療も喘息と同様、吸入ステロイド (ICS: inhaled corticosteroid)が第一選択
http://www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/photos/1048.pdfより(下図も同じ)
アトピー咳嗽
喉の掻痒感を伴う乾性咳嗽で、アトピー素因を持つことが多い。
→気管支拡張薬が無効(咳喘息は除外)であり、抗ヒスタミン薬やステロイドが有効
→治療の第一選択は抗ヒスタミン薬だが、効かない時はICSの追加を試みる
<参考>
咳嗽に関するガイドライン 第2版
→http://www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/photos/1048.pdf