そもそもカテコラミンとは、「チロシンから誘導された、カテコールとアミンを持つ化学種」、である。下の図が代謝経路。
ちなみに化学式は下図。細かくは覚えなくても良いと思うが、カテコールの構造(ベンゼン環に-OH基が2つ)と、ノルアドレナリンにメチル基がついてアドレナリンになることくらいは必要かも。
ここで、ドパミン・ドブタミン・ノルアドレナリン・アドレナリン・イソプロテレノール(ドブタミンとイソプロテレノールは人工カテコラミン)を静注したときの心拍数、血圧の挙動はどうなるか。ここで重要となるアドレナリン受容体については下の記事を参照してください。
ドパミン (イノバン)
用量によって作用する受容体が変わってくる。
低用量(1〜5γ)
ドパミン受容体を介して腎血流量を増加。それによる利尿作用が得られる。
中用量以上(5γ〜)
β1作用とα1作用が出てくる→心収縮力が増加し、心拍数も上昇(たぶん)。血管が収縮するため利尿作用は消え、血圧は上昇。
大体5〜10γの中用量ではβ1が、10γ以上の高用量ではα1が優位になるらしい。
※下の研究によると、低用量のドパミンには利尿作用や腎機能改善の効果はそこまで見られないらしい…
利尿薬に低用量ドパミンを上乗せするメリットは?:腎機能障害を有する急性心不全患者/JAMA|医師・医療従事者向け医学情報・医療ニュースならケアネット
※γ計算については次の記事でまとめています
ドブタミン (ドプトレックス)
ドーパミンとは異なりほとんどβ1作用→心拍数や血圧にはあまり影響せず、心拍出量を増加。そのため、心筋酸素需要を他のカテコラミンよりも抑えられ、心筋保護には有利。
ノルアドレナリン
α1作用が強い→血管が収縮するため、血圧は収縮期、拡張期ともに上昇。また、血圧が突然上がることにより、圧受容器反射で心拍数は減少。
アドレナリン (ボスミン)
α、β両方に働く→β1作用により心拍数は上昇。α1による血管収縮とβ2による血管拡張のそれぞれの作用により、収縮期血圧は少しだけ上がり、拡張期血圧は少しだけ下がる。
また、β2作用で気管支の拡張を促すので、気管支喘息の発作時に使うこともある (短時間β2作動薬としてはサルブタモールが有名)
また、β2の血管拡張作用によって臓器の血流量は増加するため、アナフィラキシーショックに有用。
イソプロテレノール (プロタノール)
ほとんどβ作用→心拍数は上昇。収縮期血圧は上がるが、β2による血管拡張によって拡張期血圧は大きく下がる。
<参考>