NAP(neutrophil alkaline phosphatase)=好中球アルカリホスファターゼ。好中球に含まれる酵素のこと。NAPスコアでは成熟好中球におけるNAP活性の程度を調べる。つまり正常な好中球がたくさん活動していれば高値になるし、正常な好中球が少なければ低値になる。
NAPスコア↓の疾患
・慢性骨髄性白血病(CML)
成熟白血球まで分化した異常クローン細胞が増える→成熟好中球はたくさんあるがまともな奴の割合は低い。
・発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)
補体(C3)が活性化することによって赤血球が破壊される疾患。通常は補体制御蛋白(CD55やCD59)というのがいて補体の活性化を制御するが、PNHでは補体制御蛋白を細胞膜に繋ぎ止める役割を果たすGPIアンカーが発現しない。そのため補体(C3)の活性化が進行して赤血球の細胞膜が破壊される。
そして、このGPIアンカーが繋ぎ止めているタンパク質はほかにもあり、それがNAPとAChE。NAPが失われるのでNAPスコアは低くなり、AChEの活性も低下する。
PNHについて詳しくは以下記事から。
NAPスコア↑の疾患
・CMLの急性増悪
急性増悪すると芽球が急速に増加、急性白血病と似たような病態になる→病的な成熟好中球が減るため慢性期にくらべ上昇する
・原発性骨髄線維症
造血幹細胞異常によって巨核球が増殖→二次的に骨髄が線維化→脾臓や肝臓での髄外造血を頑張る→NAP上昇
・真性多血症
造血幹細胞異常によって赤血球の腫瘍性増殖をきたすが、白血球と血小板も増加する→機能自体はまともなのでNAPスコアは上昇。
<参考>
STEP内科2 感染症・血液 第3版