読み方は「せつにゅうあつ」。右心カテーテル(Swan-Ganzカテーテル)によって測定可能なもののひとつ。
肺動脈楔入圧とは
内頸静脈・上腕静脈・鎖骨下静脈からカテーテルを入れ、大静脈→右房→右室→肺動脈→肺動脈の枝と進めていく。
肺動脈の枝までカテーテルを進め、バルーンを膨らませると、内腔がブロックされ、血流は途絶する。すると、カテーテル先端の圧はその先の左房圧に等しくなり、これを肺動脈楔入圧とよぶ。
スワンガンツ(Swan-Ganz)カテーテルでわかること
とりあえず5つ。
1, 右房圧(RAP: right atrium pressure)
=中心静脈圧(CVP: central venous pressure)、循環血漿量の増減や右心不全などの指標になる
→頸静脈波(内頸静脈から非観血的に測定)は右房に直接つながっているため、右房圧を反映する
2, 右室圧(RVP: right ventricular pressure)
3, 肺動脈圧(PAP: pulmonary artery pressure)
4, 肺動脈楔入圧≒左房圧(PAWP: pulmonary artery wedge pressure)
ちなみに下図ではPAOPとなっているが、これはocculusion(閉塞)のOらしい。wedgeはくさび(楔)を意味していて、肺動脈の枝で血流を途絶えさせるのをイメージしているのかと。
5, 心拍出量(CO: cardiac output)
熱希釈法という方法によって測定可能。これを体表面積で割った心係数(CI: cardiac index)という値がforrester分類の際に重要となる。
PAWP・頸静脈波の波形
肺動脈楔入圧や右房圧の波形にはa波、c波、v波とx谷、y谷と呼ばれる波がある(下図は頸静脈波形 jugular venous pulse)
The Jugular Venous Pulse And Hepatojugular Reflux Examinations Of Cardiovascular Diseasesより
a波
atrium:拡張末期の右房・左房の収縮。
c波
closing:心室の収縮によって三尖弁・僧帽弁が押し込まれるときの圧。a波よりは小さめ。
v波
venous:収縮期に三尖弁・僧帽弁は閉じたままで大静脈・肺静脈から血液が流入。
x波
心房の弛緩によって圧が低下。
y波
三尖弁・僧帽弁が開き、心房にたまっていた静脈血が心室へ流れ出て圧が低下。
心血管内圧の基準値・正常値
中心静脈圧=右房圧:2~8mmHg
右室圧:15~30/2~8mmHg
肺動脈圧:15~30/3~12mmHg
肺動脈圧楔入圧=左房圧:2~12mmHg
左室圧:100~140/2~12mmHg
大動脈圧(いわゆる血圧):100~140/60~90mmHg
基本的に心室の拡張期に心房が収縮して血液を送るので、心房の収縮期圧=心室の拡張期圧。心室から動脈へもそのまま流れるので、心室の収縮期圧=動脈の収縮期圧。これを覚えやすく簡略化したのが下図。
いつもお世話になっている医学語呂なうさんより。